毎月1回開催される、マーケティング勉強会に参加しています。
今回のテーマは「顧客満足度と価格戦略」。
いまの時代にぴったりの話題だな、と感じました。
きっかけは、値上げラッシュのニュース
というのも、4月だけで4,225品目が値上げ予定というニュースを見て、
「これはもうインフレなのでは」と本気で思っていたところだったからです。
うちの店でも一部商品の価格を見直すことにしました。
たった数十円のこととはいえ、やっぱり気を使います。
「価格より価値」が選ばれる理由
勉強会で印象に残ったのは、「価格と満足度の関係」についての3つのポイントでした。
1.お客さまは“価格”ではなく“価値”を見ている
たとえば、ファミリーマートの「涙目シール」。
消費期限が近づいた商品に貼る値引きシールですが、
「助けてください!」という一言がアイキャッチになっていて、思わず手に取ってしまいます。
ただの値引きより、「なんとかしなきゃ」という気持ちになる。
そこには、価格以上の“納得感”が生まれています。
2.満足度が価格の“正当性”を支えている
「この味とボリュームなら、安いわ!」と感じさせるマクドナルド。
少しずつ値上がりしていても、満足度が変わらなければ支持され続けます。
“変わらぬおいしさ”が、価格に対する納得感の土台になっているんですね。
3.満足感は、体験からも生まれる
たとえば「王将」は、地域によって価格が異なることがあります。
でも、その街の空気や店の雰囲気にしっくりくると、不思議と納得できるもの。
「この場所、この感じならこの価格でいい」と思える。
それも立派な“情緒的ベネフィット”です。
そして、王将の看板商品・餃子にも小さな工夫が。
実は少しずつ味の改良が加えられていて、「飽きさせないこと」が狙いなんだそうです。
定番メニューであっても、よりおいしく、より満足してもらえるように――
そうした努力が、信頼や“この店じゃなきゃ”という気持ちを育てているのだと思います。
小さなお店こそ、コモディティ化に注意
逆に、お店そのものが“コモディティ化”してしまうと要注意。
他と差がなくなって、結局は“価格”で比べられてしまうようになります。
そうなると、値下げ競争に巻き込まれてしまう。
だからこそ、「ここじゃなきゃ」と思ってもらえることが何より大事。
そのために、毎日の掃除、居心地のよい空間づくり、
気取らない接客など、小さな工夫を続けることが必要だとあらためて感じました。
実は“ベネフィット”にも2種類ある
勉強会ではもうひとつ、面白い話がありました。
お客さまが感じる価値(ベネフィット)には、大きく2種類あるというのです。
● 機能的ベネフィット・・・安い、早い、便利、お得、など「スペック的な価値」
● 情緒的ベネフィット・・・嬉しい、楽しい、安心、ちょっと贅沢、気分がいい、など「気持ちに届く価値」
たとえばビールでも――
・毎日の晩酌用なら、安さ重視で箱買い
・仕事帰りの1本には、“ご褒美感”がある
・友人と飲むときには“楽しさ”が
・旅先のホテルなら“非日常の贅沢感”がある
同じビールでも、シーンによって「価値」は変わる。
だからこそ、情緒的ベネフィットは軽く見られません。
まとめ:価格より“納得感”を育てよう
これからの時代、必要なのは「値上げしない努力」よりも、
「価格に納得してもらう工夫」なのかもしれません。
それは、涙目シールのようなちょっとした仕掛けかもしれないし、
マクドナルドや王将のような積み重ねかもしれません。
私自身も、小さなお店だからこそできることを考えて、
お客さまの心に届く価値を、これからも届けていけたらと思っています。