『Day One』という日記アプリを使い始めて、もう12年になる。
最初の記録が2013年だから、時間の流れの速さに少し驚く。
デザインに惹かれて始めた
きっかけは単純だった。すっきりしたデザインが気に入ったのだ。
写真を添えられるのも良かった。
その日の出来事をひとことでも入力しておけば、日記にもなるし、備忘録にもなる。
ペンを持たなくても、思いついたときに気軽に記録できるのが便利だった。
無料版ではジャーナルがひとつしか使えないので、テーマを決めずに、何でもかんでも書いていた。
いろいろ試したけど、続かなかった
効率化や時間管理のアプリを仕事に活かそうと、いろいろ試してみたが、どれも長続きはしなかった。
『Evernote』でメモや議事録を管理しようとしたが、どうもしっくりこなかった。
『OmniFocus』というGTD(Getting Things Done)用のアプリにも、けっこうなお金をかけた。けれど、結局は使いこなせなかった。
当時はサラリーマンとして、とにかく忙しすぎた。
メモは必要だったけれど、アプリに入力する時間があれば、電話やメールで仕事を進めた方がよかった。
整理する前に、まず走れ!そんな毎日だった。
会社を辞めてから、本格的に使い出した
不思議と、大事な約束を忘れることはなかった。
毎晩遅くまで働いて、会社を出てから寝るまでの数時間が、ようやく自分の時間だった。
といってもリラックスできるわけではなく、目覚めるとすぐに戦闘モードへと切り替わった。
まるで、ジャングルを逃げまわる小動物のように緊張を抜く暇もなかった。
本格的にDay Oneを使い始めたのは、会社を辞めてからのことだ。
始めた事業はなかなか軌道に乗らず、先の見えない日々が続いた。ノートにその日の出来事や考えたことを書いていたが、今読み返すと、かなりつらくて暗い内容が多い。
感謝の記録で気持ちが変わった
「1日に3つ、感謝したことを書いてみるといい」と聞いて、試してみることにした。
はじめはノートに書いていたけれど、忘れないようにアプリに記録するようにした。
書くのを忘れても、寝床の脇にスマホを置く前に、横になっても書けるのがよかった。小さな感謝が積み重なっていった。
不思議だが、些細なことに感謝するうちに、愚痴や不安が少しずつ減っていった。
ずっと抱えていた「誰かのせいだ」という気持ちも、気づけば消えていた。
有料版に切り替えて、使い方が広がった
2年ほど前、有料版に切り替えた。年間3,800円だった。
今では、なくてはならないアプリのひとつになっている。
有料版では、ジャーナルをいくつも作れる。
仕事のこと、本を読んで得た気づき、学んだこと、ブログのネタ、家族との日常、感謝の記録、そして人生の夢……それぞれ分けて記録できるのはとてもありがたい。
エントリー日を指定して、過去の日付にさかのぼって書くこともできる。
たとえばふと思い出した昔の出来事を、その日に戻って残しておけば、自然な形でタイムラインができていく。
頑張れば、生まれてから現在までのライフログも作れるかもしれない。
他のジャーナルへの移動も簡単だ。
過去に記録した読書メモを、ブログのネタ帳へ移すといったこともできる。一度記録したものが埋もれないのは、大きな利点だ。
「On This Day」で、過去の自分に会える
Day Oneのお気に入り機能のひとつが、「On This Day」だ。
その日と同じ日付の過去の記録が一覧で表示される。
1年前、2年前、5年前の今日──どんなことを考えていたか、何に感謝していたかが見える。
朝、これを読み返すのがちょっとした楽しみになっている。
当時は苦しかった思い出も、今見れば懐かしく、どこか愛おしい。
もがいていた自分、頑張っていた自分に、少しだけ勇気をもらえる。「同じ間違いは繰り返すまい」と思い直すこともある。
ノートもアプリも、それぞれに良さがある
もちろん、今でもノートは使っている。手書きには手書きの良さがある。
一方で、Day Oneには画像や動画を一緒に記録できるうえに、その日の場所や天気、気温を自動で記録してくれるといった機能があり、1日をリアルに再現する力がある。
アナログとデジタル、それぞれの良さを活かしながら、記録を続けている。
書くことは、自分と向き合う時間。
忙しい日々のなかで忘れがちな気持ちや小さな気づきをそっと残しておけるのがいい。
『Day One』は、タイムカプセルのようにしまっておけるアプリ。
ふとしたときに昔の自分に出会えて、「ああ、がんばってたな」と思える。
未来の自分がちょっと笑えるように、今日も何かひとつ、書き残しておこうと思う。