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「書くことについて」書けないぼくにスティーヴン・キングが教えてくれたこと

書くことについて 書けないぼくにスティーヴン・キングが教えてくれたこと

「文章は生き物である」と、スティーヴン・キングは言った。
ぼくがこの本と出会ったのは、ちょうど、ブログを書こうとして何度も挫折していた頃だった。

60歳になったいまも、まだテーマが定まらずにいる。
書こう、と思って何年も経ったけれど、記事はなかなか形にならない。
そんな自分がもどかしくて、「文章の書き方を勉強し直そう」と思い、いろんな本を読んでいる。

でも不思議なもので、本を読めば読むほど、書くのが怖くなってしまった。
うまく書こう、ちゃんと伝えよう、という思いが先に立って、手が止まってしまう。
そうして気づけば、また何も書けないまま日が過ぎる。
なんとなく焦って、ますます書けなくなる。そんな日々の繰り返しだった。

そんな中で読んだのが、スティーヴン・キングの『書くことについて』という本だった。
最初は、「小説家の話なんて、ぼくには関係ないだろう」と思っていたけれど、ページをめくるうちにどんどん引き込まれた。

キングは、プロの作家としてのテクニックやルールを押しつけてくるわけじゃない。
代わりに、自分の書く習慣や考え方、失敗談や迷いまで、すごく率直に語っている。
たとえば彼は、「受動態は避けろ」「副詞はできるだけ使うな」と言う。
理由は単純で、その方が文章に力が出るからだ。
でもそれを「こうしろ」と上から言うんじゃなくて、ちゃんと実例を交えながら、納得できる形で伝えてくる。
読みながら何度も「なるほどなあ」とうなずいた。

そして一番胸に響いたのは、
「気取りは書くうえで一番邪魔だ」
という一文だった。

ぼくはきっと、気取っていたんだ。
誰かに見せるものだから、恥ずかしくないように。
つまらないと思われないように。
そんなふうに構えて、言葉を着飾っていたのかもしれない。

でも、うまく書こうとするほど、ぼくの言葉はどこか遠ざかっていった。

キングは、机に腰かけて“毎日”書くことをすすめている。
最低でも一日1000語。午前中に集中して、一気に書く。
彼にとって「書くこと」は、特別なことじゃなくて、日々の生活の一部なんだ。
そして「最初の草稿はいつも自分のために書く」とも言っていた。
誰に見せるわけでもなく、自分が見たいもの、知りたいことを書くんだ、と。

もう一つ、心に残った言葉がある。
「書くことは生きること」
最初は大げさに聞こえたけれど、いまのぼくにはすごくよくわかる気がする。

上手く書けなくても、自信がなくても、
一行でも自分の言葉を出せた日は、ほんの少しだけ、生きている実感がある。
逆に何日も書けないと、自分がどこかに消えてしまいそうな気がする。
書くことって、そんなに大げさなことじゃなくて、
自分と話すこと、自分の気持ちを確かめること、そんなものなのかもしれない。

だからぼくは、「うまく書く」ことを手放してみようと思った。
ちゃんとした文章じゃなくてもいい。
多少まとまりがなくても、ぼくの言葉で、ぼくの気持ちを書いてみようと思う。

そしてそれが、誰かひとりでも「わかるよ」と思ってくれたら、それだけでじゅうぶんだ。

ブログを書くことも、人生も、いきなり上手くはいかない。
でも、言葉を通して自分と向き合いながら、少しずつ進んでいけたらいい。
そんなふうに、今は思っている。

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この記事を書いた人

60歳過ぎのおじさんです。
日々考えたこと、感じたことを書いています。

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